ほくそ笑む。

私が東京に戻って2日後に、父が再び抗ガン剤を打つ。
父の場合の治療法はガン細胞のできた位置が位置なので、抗ガン剤による治療を
行うことになったのだ。

ガンによる死亡というのは、この抗ガン剤をどのように使うかで決まってくるらしい。
抗ガン剤はかなり強いクスリで、体力のない人、年齢の高い人は、このクスリによって
なくなることが多いのだという。

父の場合は、基本的に体力があるので、1回目の抗ガン剤ではそれほどダメージがなかった。
ただ、ガン細胞もそれほど小さくなってはいない。
そして今回、2回目の抗ガン剤を投与することになる。

2回目の抗ガン剤を、3日間ほど打つ。
点滴が嫌いな父は、看護師さんに早く落ちてしまうよう
指示したらしい(苦笑)。
それは身体によくないのに、相変わらず我慢がきかない父。


元気も食欲もあり、一般の人と何ら変わりなかった父が、
“抗ガン剤で食欲を失った”とメールが入った。


病院の食事は塩分が少なく、肉や魚も少ないと、
不満をもらしていた。
それでも病院の食事は、残さず食べていた父。


そんな父が、1回目同様また食欲を失った。
食べたくなるのは、フルーツ程度らしい。
それで今日は弟・英介にフルーツを買ってきてくれと頼んだと
いう。


それをなんとか食べて、元気を取り戻しつつあるようだ。


父のメールを読んで、今日は二子玉川の地下でフルーツを
買い占め、大分の病院まで配送した。
前は、漬物も食べたがっていたので、こっそりそれらも入れた。
塩分の少なさに、うんざりしていたのだろう。
ほくそ笑む、父の顔が浮かぶ。


体力を温存することが、これほど難しいとは。
ガン細胞とつきあっていくのは、なかなか大変なことのようだ。