映像ディレクターに取材。

依頼するライターのなかには、どうしても仕上がりが納得できないものがある。
3度書き直しを願い、結局掲載はできないと判断。取材テープをいただき、私が書き直したことも
あった。申し訳ない気もするが、こちらとしてはイイものをつくることが最終目的。
情に流されることはない。
カメラマンのなかにも不安な人もいる。取材のテレコまで撮ってしまう人(苦笑)。
写真に入るから移動させてくださいと一言声をかけてくださればいいのだが、
構わず次々にシャッターを切っていく。
(時間がないので、仕方がないところもあるのかもしれないが・・・)
確かに編集で切って使えばいいとも言えるが、こちらとしてはできるだけ切らないで使いたい。
そもそも写真を切らずに絵にできる人がプロだと思うし…。

今日は昼すぎから、プロモーションビデオを制作しているディレクターに取材。
Tさん。第一印象が悪い。ただの軽薄なお兄ちゃんだよ…これは!と思う。
きちんとインタビューがとれるのだろうか、と不安がよぎる。
とりあえずなんとかこなさねばと思い、約束の場所へ移動した。


取材場所では偶然、avid(映像編集ソフト)を稼動させており、
それを生かした写真を撮ることにする。
今日のカメラマンは手際がよい。


専門学校を経て音楽番組のディレクターをやっていたTさんは、
音楽番組と同時に、来日する有名ミュージシャンの紹介VTR
(たとえば朝の芸能ニュースやワイドショーで流すもの)を撮っていた
こともあったらしい。
現在はそのほかにも、プロモーションビデオ、映画の告知映像、
VJもやっているのだという。
それでまだ20代。想像していたよりも運が強く、多才な人間だった。


話してみると多才なだけあって、彼流の哲学をしっかりもっている人。
インタビューに対しても、真摯な態度で臨んでくれた。
時折彼は“飲み屋で話すような話だな”などという。
どうやら飲み屋では、制作の話を頻繁にしているらしい。


テレビ番組の制作とプロモーションビデオの制作は“映像”といっても
似て非なるもの。
番組制作は決まったコーナーがあり、それに当てはめてつくっているから、
プロモーションビデオのように、ゼロから立ち上げるわけではない。
当初彼は、そのギャップに悩まされたらしい。


しかし、現在は映像と名のつくものは何でもやれる環境にある。
人によっては、うらやましい環境にあるとも言えよう。
今は悩んでいたころと違い、テレビ番組の制作と
プロモーションビデオの制作は近いところも見出せるように
なったのだという。


テレビ番組もCMも、音楽も…。どの世界も深遠だ。
インタビューを行うたび、ひとりの人間が費やした時間がおぼろげながら
見えてくる。それは非常に興味深い。