映画『炎の肖像』。

昨日はDJにインタビューしたあと、再び阿佐ヶ谷のラピュタに行った。
沢田研二主演の『炎の肖像』を見るためである。


上演前に階下の待ち合い室で待っていると、3人の男たちが話を
しているのが見えた。
どうやらカメラマンが入ってインタビューしているようだ。
いったい誰なんだろう、と覗いてみると、なんと山本政志氏!!
『闇のカーニバル』を地元の映画館で見て以来、
彼は私の大好きな監督のひとりとなった。


山本政志氏はうちの父親の高校を出ていると思っていたのだが、
最近になって、私と同じ高校だったことがわかった。
いわば高校の先輩。初めてうちの高校を誇りに思った(笑)。
ほかにも作家の赤瀬川隼さん(源平さんの兄)も卒業しているらしい。
結構妙な人間が多いかも(笑)。
調べればもっといるんだろうな。なにせ歴史が古い。
私でさえ100回生なわけだし。


インタビュー中に、映画を上演する時間となる。残念。
やむなく場所を移動し、『炎の肖像』を観ることにした。
74年の作品。日本版の“ロックンロール・サーカス”と謳われた
映画で、本人がジュリー役で出演している。
いわば長めのプロモーション&ライブビデオのようなものだ。


20代の沢田研二は、驚くほど美しくセクシーだ。
最近はカッコよく美しい男性は増えてなってきたが、70年代には
彼ほどのルックスや雰囲気をもった人などほとんどいなかった。
映画の中には当時の日本人がたくさん出てくるが、圧倒的な存在感があり、
とにかく目立つ。
スクリーンの中では海水に濡れた白いシャツ、血にまみれた指が
大写しになることもあった。とても色っぽい。


またもや秋吉久美子が登場。今回は生意気で気の強い本来の彼女らしい
キャラクターである。その彼女がなぜかジュリーの家に彼の父といっしょに
訪ねて行くという妙な設定。ジュリーはやっぱりジュリーで(笑)
ケンカ早く、刑事事件を多数引き起こす。


当時はケンカが多かったような気がする。そんな記憶がどこか残っているのだ。
今はケンカはない。ケンカをする前に殺してしまうというのが、今の日本の
恐ろしさだろう。ケンカは一種のコミュニケーションである。
いきなり殺してしまえば、そこには身体やことばを使ったやりとりはない。
これこそ危機的状況だろう。


映画のなかには、70年代の渋谷や原宿、新宿の風景がたくさん出てくる。
原宿駅は自動改札がない程度で、大して変わらない。
ただ人間は明らかに変わった。風貌も精神も。