ミュージックマガジン 2004年ベストアルバム

先日、200円箱から一枚のレコードを救った。
マイケル・フランクス『スリーピング・ジプシー』。
トミー・リピューマがプロデュースで、ラリー・カールトンマイケル・ブレッカー参加の
このアルバム。いわゆるバーバンクサウンドなのに、200円。とほほ。
レコードの価値がわからない店ではないはずなのに。

バーバンクの質感が好き。マイクに乗った空気がいいのだ。
機材うんぬんではなく、カリフォルニアのからっとした空気がいいのだろうな。

からっとした空気があるところにこそ、いい音楽が生まれる。
九州もそう。いい音楽家が生まれるのは、環境の要因に左右されることが大きいと思う。
この質感ばかりは、レコーディングエンジニアがどうがんばってもつくれないものだ。
九州生まれでよかった。父さん、母さん、ありがとう(笑)。

ミュージックマガジンを半年ぶりに購入。
本年のベストアルバムが載っていたからだ。
それでもなかなか触手が伸びず、ほとんど読めずに終わってしまうのだが、
とうようさん、原田尊志さんの書いているところとcalmさんのアルバム評
だけは、なんとか読むことができた。


とうようさんと尊さんの書いていらっしゃることは、私のような人間が
とやかく言うのはおこがましいので、コメントは差し控えるが、
アルセニオ・ロドリーゲスの『アブレ・クト・グィリ・マンボ』が
本年のラテンのトップに挙がっているのには笑った。
尊さん、本当にアルセニオが好きなんだなあ〜(笑)。
一方、ワールド部門では安東ウメ子さんの『ウポポ・サンケ』が
挙がっていることに、深く共感。私も本年もっともよく聴いたアルバムだった。
アイヌの音楽はなんと深遠で、豊穣なのでしょう。
21世紀にこのような音楽があること自体、奇蹟のような気がする。


CALMさんならぬK.Fのアルバム『キー・フリー』も小野島大氏、小出斉氏
に好評。2ちゃんねるの輩が大口を叩いているようだが、この二人のお墨付が
あれば、CALM氏もまずますなのでは。
というよりも、どうしてあの作品をあそこまでこき降ろすのかが、私には
わからない。どういうところが、駄作なのだろう。
もちろん従来の作品にくらべるとかなりキャッチーな作風だ。
それが問題なのか?皆目見当がつかない。
小野島大氏、小出斉氏はそんな様式美に捕われることがない。
さすが御大、価値基準が通り一遍ではなく、柔軟だ。


特に小野島大氏は、SPA!でも本年の第一位に『キー・フリー』を選んでいた。
しかも彼はあのアルバムを聴いて、私と似たような点で評価している。
あのアルバムには、いろんな時代要素と多彩な音楽が凝縮されていて、
実に2004年らしいアルバムなのだ。


小野島氏はロックが専門分野なのだと思いきや、本当にいろんな音楽を
聴いている。12年前くらいに、アリハッサン・クバーンのアルバムを
本年の最高峰と書いていたこともあったなあ。


しかし小出斉氏は、黒人音楽が専門なのに、四つ打ちでひるがえっていて
いいのか(笑)?四つ打ちこそ、黒人音楽の真髄でしょーが。