久世光彦演出『夏目家の食卓』。

我が家のミニ植物。

暖かい日と寒い日が交互にやってくる毎日。着るものひとつをとっても、考えなければならない。
体温調節というのは、案外難しい。
新年早々、風邪をひきたくないが、若干咽が痛んでいる気がする。
今晩は薬でも飲んで、ゆっくり就寝することにしよう。

日本テレビが、向田邦子原作の『冬の運動会』を、放映していた。
いつもなら、彼女原作のドラマは久世光彦さんが演出を手がけ、TBSで放映する
ことが通例となっている。
今年はTBSがやらないということで、急遽日本テレビがやることにしたの
だろうか。


どちらにしても、岡田准一長谷川京子はないよなあ。
キャストが幼すぎる。
40代の後半もしくは50代のキャストをもってきてもいいくらいだが、
それでは原作の設定にそぐわないし、視聴率も稼げないと踏んだのだろう。
ただあのキャスティングでは、向田邦子さんの風合いがまるで出てこない。
キャスティングに関して非常にうるさかったという彼女だから、
あの世で怒ってはいないかと思ってみたりもした。


結局つまらなさそうなので、TBSの『笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ』の
ほうを見た。
相方をシャッフルし、ほぼ即興に近いかたちでコントや漫才を行う。
こちらのほうが、ずっとおもしろい企画だ。


昨年のTBSの向田邦子原作/久世光彦ドラマは、山口智子さんが久々に主演を
するということで大変話題になった。
ドラマ自体は、不発で終わったけれども。
去年の夏、久世さんにお会いしたときに少しだけあのドラマの話になったが、
多くは触れなかった。いや、触れるのを避けたというのが正直なところだ。
おそらくなのだが、TBS側が視聴率を稼ぐために無理矢理山口さんを
キャスティングさせたのだと思う。


山口智子さんは結構好きな女優だが、向田/久世ドラマには合わない。
さっぱりとしていて、ちょっとスタイリッシュな女優さんが今は人気のようだが、
向田/久世ドラマは、その対極にあるといっても過言ではないだろう。
俳優陣は不可思議で、癖のあるキャラクターでないと久世光彦さんの演出は
いきいきとしてこないのだ。
あのドラマには岸本加世子さんが出演していたが、彼女は目を大きく見開く
癖があるのだという。
それがどうにも役柄にそぐわないと久世さんは感じ、彼女に義眼を入れるよう
提案したらしい。
キャラクターを打ち出すために義眼を入れたいうところに、彼らしさを感じて
しまう。


ずいぶん前の向田/久世ドラマでは、田中裕子と小林薫の唾液が絡んで糸を引く
濃厚なキスシーンがあった。
唾液が粘着するよう事前に二人に飴を舐めさせることで、あの絵が撮れたの
だという。とにかく久世さんのつくる映像は、実験的でおもしろく、
作り手の情熱が伝わってくるのだ。


その久世さん演出のドラマはどうやら明日、TBSで放映されるようだ。
夏目家の食卓』。宮沢りえ本木雅弘主演だから、否応にもお茶の“伊右衛門”を
連想してしまうけれど。(提供はサントリーか?)
そういえば昨年の夏、久世さんにお会いしたときに、
「今、来年の正月に放映するドラマを撮っている。宮沢りえが主演だが、彼女は
とてもイイ女優だ。」と言っていたのを思い出す。それがこのドラマなのだろう。
出演は岸部一徳真行寺君枝、松金よねこ、岸田今日子など、ちょっと期待できる
メンツ。今からとても楽しみだ。


久世さんは恐らく、70才くらいになると思われる。
演出のみならず、彼自身も独特の雰囲気をもっていた。
妙に色っぽく感じられたのも印象に残っている。