大人の恋愛。

先日のクロワッサンに書いていた『男はなぜ子どもなのか』のなかにあった記事の
フレーズが、ずっと頭に残っている。
夏石鈴子さんという女性が書いた文章だ。

“男も女も、この夜に生きていれば、つらいことや、淋しさは同じようにふりかかる。
だからこそ、暗闇で、小さな虫がそろそろと静かに動くように、人間は甘えても構わない
相手を、手さぐりで探していくのだ。ここまでやってもいいかな。今度はどうかな?
何度も手を出しては引っ込めて、最後に、ああこれでもういいんだと思えば、手と脚を
からませ、全身を相手に預けてしまう。”

“愛なんていう言葉は大袈裟な気もするけれど、お互いが「大人」であってこそ、
やっと愛が始まる気がする。いつも自分が「お世話してもらう側」と決めている男って、
妻や恋人が困っていても、助けることができないと思う。自分が何とかしなくちゃ
いけないという反射神経が体にないからだ。”


恋のはじまりを書いた文章は、表現が素敵。
男も女もこうやって距離を縮めていくんじゃないかな。
特に「手を出しては引っ込めて」というところにためらいと葛藤が見える。
恋をしはじめた頃はどこまでが許容範囲なのかが読めないこともあって、
相手の反応が怖い。
少しずつ相手の様子を伺いながら、近づいていく。
そしてこの人なら甘えてもいいんだと感じられたとき、
身体ごと委ねてしまうもの。
なかなか自分から距離を縮めることができない私も(笑)、こうして恋愛を
してきた気がする。


愛について書いた文章は辛辣ながら、うなづけるところが多い。
多くの女性がこれを見て「よくぞ言ってくださった!」と思っている
のではないだろうか(笑)。
私が大人の男性、紳士的な男性に惹かれるのも、結局こういうところだ。


お互いの気持ちが推し量れる大人同士なら、恋愛はきっとうまくいくと思うのだが、
私がまだ夢を見ているだけなのだろうか。