[ku-ki]vol.8

Shinkilowの照明。

14:00に鍼治療に行く。久々に足に打ってもらう。
私はいつも足だけは触らないでくれと担当の鍼灸師に話していた。
足に触れられると、なんだか妙な感じで気持ち悪い。おそらく血行が悪く、むくんでいるのであろう。
にも関わらず、あの気持ち悪い感覚を味わうのがイヤで、いつも施術禁止令を出していた。
しかし最近は、あまりにも足が力ない感じなので、鍼を打ってもらうことにした。
(もちろんマッサージはなし)
なんだか調子がいいようだ。これからはもっと治療してもらうべきなのかもしれない。

今日はToshiくん率いる[ku-ki]のパーティ。
治療のあと、渋谷・青山でキッチン用品を購入したあと、
スパイラルホールに向かった。


主催者のToshiくんが26才だからだろうか。
客はほとんど20代ばかり。大学生も多い。
この会場にいる30代は、おそらく私と出演者と技術系のスタッフくらい
なものだろう(笑)。
クラブで行う“パーティ”のほうが、むしろ年齢層が高いくらいだ。
Toshiくんもパーティにする気はないと常々語っていたが、
それは今回の[ku-ki]Vol.8を観てよくわかった。


今までのパーティというのは、出演者とハコでほぼ客の入りが決まる。
ところが[ku-ki]の場合は、もはや出演者とハコではないのだ。
もちろん多分にそういう要素もあるのだろうが、それよりも[ku-ki]という
ブランドが凌いでいる。
Toshiくん以外の人間が同じ出演者を集めたところで、今回の集客を望めたか
といわれると、おそらく違うであろう。
[ku-ki]だからこそ、客は足を運んでいるのだ。


[ku-ki]は、とにかく演出がうまい。会場内のサインといい、さりげなくかけた
布のセンスといい、客の気持ちをうまく惹いている。
出演者が変わるところで上手にスモークを炊いたり、Shinkilowが美しい
照明を魅せるなど、客を飽きさせることを知らない。
Toshiくん、やるなあと思った。


HikaruさんやKlockさん、山北さん、勝井さんというエキセントリックな
サウンドをつくるメンツもさることながら、今回は照明/VJが際立って
よかった。
しかしShinkilowってすごいな。人力照明。
照明はもともと人力だったことさえ、私は忘れかけていた。
ミラーボールひとつ、色のフィルムひとつで充分に光の可能性を拓けるもの
なのだ。
上下に動かしたり、手で廻したり(笑)するだけで、光のさまざまな美しさが
引き出せる。
時にはミラーがたくさんついた丸板(ゴム製?)を押し出しては、客に光の
ビームを浴びせかけていた。
あれはとてもおもしろいし(笑:客は笑っていた)、やっている人間からすると、
なんともいえない快感があるんだろうな。
とにかくすべてが人力(笑)。非常に体力がいるだろうが、あの照明は本当に価値
があると思った。
デジタルミキサーにパッチングするのは、もはや古いのかもな。


VJもよかった。美しい絵柄の原画はすべて原色だったようだが、ステージに
引き延ばしたおかげで、すべて墨が入ったような色へと変化していた。
それが山北さん、勝井さんの雰囲気に合致している。
(私は、ベルベット・アンダーグラウンドを思った)
Kinca&YogurtさんのときのVJもおもしろかった。暴走族の取り締まりのような
VTR!あれにも笑わせてもらった。


それらすべてがToshiくんが想定している演出のもと、できあがっているのが
すごい。
私との会話やメールにおいても、彼のこころ配りには感心しているが、
それがこのイベントにも如実に表われていたように思う。


[ku-ki]は、ひとえに彼の人徳と、情熱なのだろう。
配慮もさることながら、ハコ、スポンサー、演出、宣伝すべてに挑み続けている。
その結果、回を重ねるごとに大きくなっている。


しかも彼は仲間を大事にする。私もずいぶんイベントのノウハウについて
教えてもらったし、いつも「できることがあったら、協力しますよ」と
言ってくれる。
仲間のイベントに積極的にかかわり、力を貸す。決して労を惜しまない。
その姿勢にいつも感心する。
しかも同業者に対する妬み僻みのことばなど、彼の口から聞いたことがない。
まあ、妬んだり僻んだりしている人間に、成功した者などいないものだが。


もはや彼は、東京のトップクラスのオーガナイザーであろう。
これからもユニークなイベントを手がけて、楽しませてほしい。