奇蹟。

今日は父の誕生日。62才になるようだ。
私は外見も性格も父にそっくり。良いところも悪いところも、見事に父の血を引き継いでいる。

娘の私がいうのもなんだが、若い時の父はカッコよかった。ちょっと自慢の父だったのである。
ひとり娘の私は、何かと彼に叱られた。その反面、とても可愛がられたように思う。
帰省する前の日は、うれしくて眠れないなどとこぼし、何かと理由をつけては私を大分に
引き戻そうと企む。

私はつくづく父の子どもでよかったと思う。

今日は、一日中考えごとをしているような気がする。
恋でもしたかな、などと思う。


いつの間にか、その彼が気になる存在になっていた。
私からのアプローチといえば、たった一度彼の二の腕に触れて話をした
というだけ。それが精一杯だった。


何度か恋愛をすれば、アプローチも平気になるだろうと思いきや、
全くそうはならないらしい。
女優の加賀まりこさんが、初めて手をつないで歩いたとき、
とてもドキドキしたと言っていたが、恋はやはりそういうものだと思う。
少なくとも私はそうだ。


こんな私の気持ちに、彼は気づいているのだろうか。
時折、気づいているのかもしれない、と思えることがあり、
うれしくて彼を抱きしめたい衝動にかられるのだが、今のところ何一つ
表現できていない。


とは言え、後になってなぜ表現しなかったのだろうと、悔やんでいる。
なんてふがいない自分なのだろう…。


彼と縁があるにしろ、ないにしろ、人を好きになること自体が奇蹟。
この偶然を、大切にしたい。