父の小声。
今朝、母から電話。彼女は、滅多に電話をしてこない人だ。 話してみると、特に用件もないよう。いったい何だろうな、と思う。 しかも“もう東京では、充分遊んだでしょう?そろそろ帰ってきたら?”などと言う。 彼女は大分に帰らなくていい、と言い続けてきた人だったが、 最近妙に、帰ることを薦める。 やはり年をとってしまったのだろうか。
そのあと10分後に、父から電話。
父も母も全くなんだろうな、と思う。
父は「最近、妙な咳が出るんだ」という。
周りの人から「一度病院に言ったほうがいいよ」と言われ、
レントゲンを撮ったところ、肺がんの疑いがあると医者から
言われたらしい。
5月2日にはMRIの検査を受け、しっかりと調べるとのこと。
亭主関白で、気が短い父。
その反面、お人好しで気が弱い。
40代前半には、「好きなことをやって死ねるのなら、本望だ!」
などと豪語していた人が、小声で今回のレントゲン結果を
話している。
私は電話口でことばを失った。