大人なき時代に。

散歩道。

日本テレビの『ナイナイサイズ』を見ると、昨年の冬の仕事を思い出す。
寒い日のお昼すぎ、この番組のディレクターに取材したんだっけ。
そのディレクターは『元気が出るテレビ』などを手がけていた、かのIVSテレビ出身。
テリー伊藤氏などとともに働いては、氏の企画力に舌を巻く日々だったという。

『ナイナイサイズ』のセットには、格別驚くこともなかった。
ただその脇にらせん階段があり、それを下って行くとMAがあることに驚いた。
スタジオは思ったより機能的なつくりらしい。

咳は若干和らいだが、完治はしない。困ったものだ。
父のことなど、気掛かりなことが重なっているせいだろうか。

正直言うと、このまま東京にいていいのだろうか、と思ったりもしている。
それはここ1〜2年の懸案事項で、未だ結論が出ない。
そういったことが折り重なり、身体に症状が出ているのだろうか。


さて、寺尾聡の『Reflections』。
このアルバムは、すぐ下の弟・俊也が隣の部屋でよく流していた。
当時の私は、邦楽なんてダサイな、と思っていた生意気なガキだったので、
このアルバムのカッコ良さを、なかなか認めようとはしなかった。
しかしながら、こころのなかでは“これはスゴイ”と思っていたのだ。


大ヒット曲『ルビーの指輪』も、このアルバムに収録されている。
あの曲はサビになるほど、盛り下がっていく(笑)妙な曲だ。
こんな曲は、後にも先にも全くない。昔の歌謡曲はとにかく発想が豊かである。
つくづくいい時代だったと思う。


また『ルビーの指輪』を改めて聴くと、こんなにファンキーだったっけ?と思えた。
チョッパーがかなり効いている。
他の曲もジャズ/フュージョンっぽく、全体的に黒っぽい。


この曲の歌詞を書いたのは、かの松本隆氏。
小道具だけで、人物の身元や心理、状況を描いており、決して多くは語らない。
この美学は、少なくとも今の時代にはない。そのせいか、こういった歌詞は見当たらない。
大人なき時代なのかもしれない。


子どもには手の届かない、毅然とした大人の世界。
私は大人に憧れて育ってきたせいか、昔の大人の姿に夢を見る。


この『Reflections』のエンジニアは、蜂谷量夫さん。
蜂谷さんというと、WAVE時代のお客さんがレコーディングエンジニアになり、
ファンハウス〜bunkamura studioと、彼といっしょに働いていたという話だった。
当時の私は音楽制作のことが全くわからず、「ディケイって何?」などと
おバカな質問を、そのお客さんに投げかけた記憶がある(苦笑)。
そのお客さんは、今はどうしているんだろう。元気なのかな。


だいぶ話が横道に逸れたが、このアルバムのアレンジャーを手がけているのが、
井上鑑さん。私の大好きなアレンジャーのひとり。
去年だったか井上さんの姿を、偶然渋谷で見かけたことがあった。
しかし声をかけずじまいに終わる。あのときは後悔したな・・・
(これだから、好きな男にもなかなかアプローチできないんだろう。
これでも、私なりに頑張ってるんですけどねえ〜)


ま、そんなことはさておき。
井上鑑さんの作品は、大瀧詠一さんの仕事が有名だが、このアルバムも秀逸。
ぜひこちらも聴いていただきたい。

Reflections