『Pouring』の感想。

クラス会。

高校からクラス会の案内がくる。
私の通っていた高校は、県内で最も古い高校。何しろ私が100回生である。
しかも1回生は、もうこの世にはいない(苦笑)。
そのせいか卒業生も多く、都内でも同窓会がよく行われている様子である(行ったことはないけど)。
今回は湯布院の友だちである加藤幸子ちゃんや、佐藤珠美ちゃんも行くという話だったので、
帰省も兼ねて参加することにした。
地方は結婚が早い。みんなすっかりお母さんだ。

ここ数日寒い日が続く。
冬が嫌いな私は、本当に辛い・・・
さてさて今日は、加藤雄一郎さんの『Pouring』の感想を。


相変わらず使っている紙が上質。印刷物の発色はこれに左右されることが多いのだが、
それをよく踏まえてつくっているんだなあと思った。
解説は特にない。それも好印象に思えた。
デザインはFJD氏。個人的には、中ジャケットのほうが好み。
これはどう描いたのか読めないところがおもしろい。


1曲目の〈One〉。非常にいい曲だ。
calmさんのサンプルのループ、エレピのアルペジオ
そして主旋律である加藤さんのSAXが重なっていく。
展開もナチュラルで、無理がない。この曲は我が家でヘビーローテーション中。


2曲目〈August Song〉はエレピのフレーズが明るいせいか、1曲目よりポップな印象。
加藤さんはご自身の演奏をいくつか重ねてミックスしている様子。
彼の演奏を堪能したいなら、この曲がおススメ。


3曲目〈Lanquidity〉はSunRaの曲らしい。転調が多く、妙なコード進行。
それでも奇をてらったように感じさせないのが、SunRaマジック。
(先日渋谷FMで流れていたのは、この曲だったみたい)
加藤さんとcalmさんの力量に加え、柴田さんのピアノ、杉本さんのウッドベースが花を添える。
転調が多く、それをナチュラルに聞かせるというのは私の好きな曲調のひとつ
なので、この曲もご多分にもれず大好きである。
うーん…ぜひとも生で聞いてみたい!


4曲目の〈Ascent〉は、フリージャズ。太田さんのドラムと打ち込みのタムやクラップが
おもしろい。KENKOUもティンバレスで参加している。
なんとっても素晴らしいのが、自由に吹いている加藤さんのSAX。
総じてエキサイティングな曲である。


5曲目は加藤さんのフレーズが東洋的な印象を受ける〈Mazume〉。
1分強の小品である。


6曲目は曽我部恵一さん参加の〈mother〉。
calmさん関連の曲で、日本語の歌詞が入ったものは数えられるくらいなので、
とても新鮮に感じた。


7曲目はイントロ部が長い〈Journey〉。(だから〈Journey〉なのだろうか?)
calmさんのハチロクが驚異。なぜこのようにグルーヴィに打ち込めるんだろう。
アフリカ人もスリランカ人も、インドネシア人も吃驚すること間違いなし。
しかもハチロクからマーチのリズムへと変化する妙技を見せる。圧巻!


8曲目は、シンプルコードの〈Dreams so real〉。
加藤さんとcalmさんの二人でつくったという雰囲気がよく伝わってくる。


最後は加藤さんが愛息に捧げた曲〈Song for Ryo〉。
ピアノはご自身で弾いたのだろう。こころのこもった温かい演奏である。
しかもこの曲で結ぶところが、こころ憎い。


加藤さんの才能と人柄、calmさんの力量を感じさせる一枚だと思う。
世知辛い2005年の年末に、このアルバムに出会えて本当によかった。